Case

プロジェクト立ち上げで見えてきたインサイドセールスの必要性とは

  • 富士電機機器制御株式会社 事業企画本部 プロモーション部 部長 大濵 一弘 氏
企業概要

工場やビルなどで使用される受配電・FA(ファクトリー・オートメーション)コンポーネントの製造・販売を行う富士電機機器制御様。自社の Web サイトを通じてお客様情報を可視化し、お客様の課題解決につなげたい、という課題を受け、サイトリニューアルを機に各組織を横断する全社的なプロジェクトを立ち上げることにしたそうです。今回はプロジェクトを推進された事業企画本部プロモーション部部長の大濵さん(以下、敬称略)に新規プロジェクトの概要やデマンドセンター立ち上げのきっかけ、インサイドセールスに焦点を当ててインタビューしました。プロジェクトを推進する上での課題やポイントはどのようなところにあるのでしょうか。

新規プロジェクト立ち上げ前のマーケティング課題

――Webサイト上でのお客様情報を可視化し営業に繋げるしくみを作りたい。

――テクニカルサポートに来る問い合わせ情報が営業で活用されていない。

――各組織間の連携が不十分で、販売上の機会損失をしている。

自社サイトの課題を受けてデマンドセンター設立

 

――デマンドセンター立ち上げのきっかけを教えてください。

 

大濵
BtoB 業界、特に FA 業界においては、お客様は Web サイトを主な情報源としています。つまり、企業の顔となる Web サイトが集客・ブランディングの主軸として機能していることが重要で、2010 年に新しいサイトをリニューアルオープンさせました。外部機関による国内 BtoB サイトの総合ランキングでは、リニューアル後に 4 位まで上がったのですが、その後は更新頻度が少なく 13 位まで下がってしまいました。ランキングに一喜一憂するわけではないですが、この状況を問題視し、改善策を打つためにサイトリニューアルを行うことにしたのです。

そもそも FA 業界は一般的に製品スペック調査や、技術資料ダウンロードなどで Web サイトが活用されることが多く、弊社も月間数十万 PV があり、月間 10 万件以上の資料がダウンロードされていましたが、どんなお客様がサイトにアクセスされているかが把握できていない状態でした。それでも資料ダウンロードは会員サイトで運営されているので履歴が残り、どのお客様がどの資料をダウンロードしたかはデータを取り出しリスト化すればわかるシステムになっていたのですが、そのリストは社内でほとんど活用されていませんでした。そこでリニューアルのタイミングで MA を導入しようという事になりました。

お客様の情報やアクセス情報を可視化して、ダウンロード履歴も確実に取得し、最終的にお客様へのサービス向上につなげるシステムを構築する構想です。現在は Web サイトリニューアルが完了し会員専用のマイページもでき、会員登録をしていただくことで様々な付加的なサービスを受けられるサイトが構築され、その情報を MA で取得し SFA に連携し、お客様のデマンドに合わせたタイムリーな提案ができるシステムが構築できました。

デマンドセンター設立と並行して新規プロジェクトの立ち上げ

――プロジェクトは何部門を横断していたのでしょうか?

 

大濵
プロジェクトは複数同時進行していました。"Spider"というプロジェクト名で総括されて、営業部門、事業部門、開発部門、情報システム部門、外部のシステムベンダーから参画して頂いているプロジェクトはSpider1、2、3 がありました。Spider1 が MA とSFA のシステム構築と MA-SFA 間の情報連携、Spider2 が Web サイトのリニューアル、Spider3 が弊社販売店のスタッフや一般のお客様が弊社製品を Web サイトでスペックや型式から素早く検索できる製品検索ツールを開発し、直接的なサービスも向上させようというプロジェクトです。

 

――会社全体を巻き込んだ壮大なプロジェクトでしたね。プロジェクト立ち上げの経緯を教えてください。

 

大濵
想像以上に大きなプロジェクトになりました。当初は Web サイトのリニューアルだけを行う予定だったのですが、それに付随して MA の導入、SFA の新システムへの更新、また、選定ツールを開発する必要性が出てきたので、全て新規プロジェクトとして、ほぼ同時に立ち上げました。また、Web サイトだけでなく、弊社の技術サポート課では問合せ管理システムを運営していて、1 日数百件の問い合わせを受け、対応しているのですが、これも技術サポート課のみでクロージングされ営業側にはほとんど伝えられていないことが分かりました。

そこでお客様からの技術問合せ内容も営業に繋げるために、MA とシステム連携することにしました。また、展示会の来場者リストや社内の販売系システム、そして顧客属性を付与するための外部データベースとも連携し、お客様が「どの会社に属しているのか」「どの展示会に来られたのか」「どれくらい購入実績があるのか」「どの製品に興味があるのか」「どんな問い合わせがされたのか」「その会社の概要は」などのお客様との接点情報を MA で全て一元管理し、タイムリーで適切なサポートができるシステムを構築しました。

また新たに更新された SFA システム上の営業担当者のダッシュボードには MA から連携された有望顧客は「ホットリード」として、赤い印付きで「フォローしてください」という表示が出るようにしました。SFA では案件、活動、顧客情報などを入れれば最終的にレポーティングしてくれるシングルインプット・マルチアウトプットの環境も出来上がったので、今後営業活動についても効率化されてくると思います。机の中に溜まるだけだったお客様の名刺も、プレゼンツールとして新たに導入したタブレットのカメラで、名刺を撮影すると自動で SFA に取り込まれ MA に連携され、さらに顧客情報がすべて紐づくという仕組みをつくりました。

新規プロジェクトの課題

 

――これから本格的に運用されるのが楽しみですね。運用していくにあたって何か課題はありますか?

 

大濵
当初の予定よりも大きな仕組みになってしまったので、これから本格的に運用していく上で多くの懸念材料があります。また、運用だけでなく集客の面でも課題がありますね。お客様のデータをいかに多く蓄積するかが重要になりますので、Web への集客やイベントでの集客をどのように推進するかコンテンツ周りも含めて考えていかなければいけないという現状です。

また、集客したお客様をどのように抽出してファーストコンタクトを取るのか、課題ごとに"Spider4、5、6"として新たにプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトの部分がマーケティングフェーズになってきます。ここで、STP 分析、製品訴求軸をどうするか、また集客し、タッチを続けるためのコンテンツをどうするかなどを考えていきたいですが、改めてカスタマージャーニーを作成しペルソナをしっかり定義していかなければいけないことに気づき、真剣にマーケティングを考えるきっかけにもなっています。

 

――プロジェクトを推進する上で迷いや不安はありますか?

 

大濵
現段階でシステムは出来上がっていますが、実際に業務が回っていくかどうか不安がありますね。確実に機能するか、営業でリードをフォローしてもらえるかは、結局は"マインド"の問題なのだと思います。運用を考え始めた当初、営業にヒアリングした時に「このシステムって結局はやる気がないと回らないよね」と言われました。

システム自体は 100%回ることを前提としていますが、そのためには営業を含めた運用側のモチベーションが 100%あって、100%確実に業務を遂行することが求められます。仮にここで誰かが手を抜いてしまうとシステムが回らなくなってしまいます。そこはあらかじめシステム上では設計していませんし、常にマインドが 100%であるわけがないですから、それを十分に考慮していかなければいけないと思います。全体の施策は、当社製品をご要望いただいているお客様、何か課題を抱えていらっしゃるお客様を認識し、お客様の問題を迅速に解決することが主目的ですので、これは、社内で良く理解してもらえる点だと思います。そのことを良く説明することで上手く機能させていきたいと考えています。

 

――人が実際に動いてくれるかという事が問題ですね。

 

大濵
何がシステムの阻害要因になっているのか、人の手によって起こることは予測できない部分がありますが、事前に調査して対策することはできますので、できる限り策を打っていこうと思います。この辺りの課題は根が深く、例えば、技術サポートチームにおいては日々数百件の問合せを 10 人ほどの体制で対応しているのですが、今回、問合せ管理システムと MA を API 連携するしくみにおいて、問合せシステム登録時、MA に情報連携するフラグを立てる処理が追加されました。問合せ全てをそのまま MA に入れてしまうと膨大な数になってしまうので、精査した情報のみ連携するシステムにしたのですが、技術サポートの人達にとっては追加工程となり、時間に追われている中で MA に連携するフラグを立てる作業をこなすまでなかなか手が回らないというのが実情です。

現場の切迫した事情は理解していますが、現状のままではシステムとして回らないので、彼らに動いてもらうためには、問合せによって案件化した情報によってこれだけ売り上げが上がったという事をサポートチームにフィードバックして感謝しなければ彼らのモチベーションもなかなか上がらないということにも気づきました。情報はデジタルで伝えられますが、気持ちはデジタルでは伝わりません。システムを動かすのは結局、人。マインドの部分が重要なのだと分ってきました。

 

――プロジェクト開始にあたって営業部門の方の反応はどうですか?

 

大濵
これはまだ見えないですね。実際に営業側に案件を渡していくのはこれからですので、何が起こるか分からないです。SFA に関する説明会を東京、大阪、名古屋支社で合計 4 回ほど行い、SFA の操作方法や MA についての説明をするのですが、温度差がありますよね。基本的に営業の人たちにとって、誰でもそうですが、行動の可視化はあまり好まないと思います。それではシステムとして成り立たないので、今後定着化施策や阻害要因をみつけながら全社的にマインドをチェンジしていかなければいけないですね。

会社としても今回の取組みを「業務改革」「営業改革」という位置づけで考えてくれています。とにかくいろんな課題はあっても、これら一連の活動はお客様へのサービスを向上させ、お客様に喜んでいただくものなのだということを営業部門に理解してもらうことが重要だと考えます。それが理解されれば、営業の人たちも率先してこの仕組みを使ってくれるようになるはずです。

インサイドセールス導入の必要性

――新規プロジェクトにおいてインサイドセールスを導入する予定はありますか?

 

大濵
プロジェクトを進めていくうちに、営業側にホットリードを渡す前工程に様々な課題が予見できましたのでインサイドセールス部門を立ち上げ、この課題に対応する予定でした。しかし、すぐには実現できなかったので、今回 Spider4、5、6 で集まった営業推進部門、事業部門、プロモーション部門のプロジェクトメンバーがバーチャル的にインサイドセールス組織の代わりになるようにと考えています。ただ、前工程のアウトバウンドコールなどリードを精査することは相当の業務内容で、リソースが別に必要であり、それが我々の悩みでした。そこでエムエム総研さんに相談したところ、この部分のリソースを提供するエージェントサービスがあるということで、インサイドセールス業務や運用サポートをお願いする予定です。

エムエム総研を選んだ理由

――数あるマーケティングコンサル会社の中からエムエム総研を選んで頂いた理由を教えてください。

 

大濵
選んだ理由としては、親身になってプロジェクトの相談に乗ってくれる姿勢があり、弊社のプロジェクト内容やビジョンを十分に踏まえ提案して頂いた資料に目を通し、「これは任せてみても良いのではないか」と感じました。何よりも営業さんの熱意とやる気が感じられ、コンサルの方は我々に色々気づきを与えてくれ、この施策を一緒に実現してくれそうだという確信が得られたので、エムエム総研さんを選びました。

導入担当メンバー